
受託者が認知症になったとき:家族信託を継続するための対策
- 家族信託の認知症対策
- 2025/11/20
- 2025/11/20
受託者の判断能力低下・病気・辞任時に信託を止めないためのポイントを解説
受託者の判断能力が低下した場合の法的扱い
信託法第56条が定める「受託者の任務終了事由」とは
信託法第56条では、受託者の任務が終了する事由が定められています。主な事由には、「受託者の死亡」「受託者が後見開始または保佐開始の審判を受けたこと」「辞任」「解任」「破産手続き開始の決定」などがあります。特に家族信託においては、受託者が財産を管理・処分する重要な立場にあるため、判断能力や意思能力が欠けると任務を果たせなくなります。そのため、信託法は受託者の能力低下を放置せず、法的に任務を終了させる仕組みを整えています。
認知症などで後見開始審判を受けた場合の信託への影響
受託者が認知症などにより判断能力を失い、家庭裁判所から「後見開始の審判」を受けると、信託法第56条に基づきその時点で受託者の任務は終了します。受託者は信託財産の管理者として重要な判断を行う立場にあるため、正常な判断力がなければ適切な運用が不可能だからです。一方、認知症の進行初期などでまだ後見開始の審判を受けていない場合には、任務を続けることはできます。しかし、その状態では実務に支障が生じ、信託事務が滞るリスクが高まります。したがって、早い段階で後継受託者の準備や辞任・解任の手続きを検討しておくことが重要です。
受託者の判断能力低下時の実務的対策
受託者が自ら辞任・または解任されるケース
受託者が自らの判断能力の低下を自覚した場合や、信託事務を円滑に行えなくなったときは、辞任を申し出ることが可能です。また、委託者や受益者などの利害関係人が「信託事務の遂行に支障がある」と判断すれば、裁判所に解任を申し立てることもできます。辞任や解任はネガティブな行為に見えるかもしれませんが、むしろ信託の安定性を維持するための適切な判断です。特に家族信託では、感情的な要素も絡みやすいため、受託者本人だけでなく、家族間での意思疎通と法的手続の両面をバランス良く進めることが求められます。
「判断能力低下時の取り決め」を事前に設ける方法
家族信託を設計する段階で、契約書に「受託者の判断能力が低下した場合の取り決め」を盛り込んでおくことが理想的です。たとえば、「医師の診断により判断能力の低下が確認された場合には、受託者の任務を終了させる」や「特定の親族が後継受託者を指名できる」といった条項を設けておきます。これにより、受託者が認知症などで意思決定が難しくなっても、スムーズに後継受託者へバトンタッチできます。こうした事前の取り決めは、家庭裁判所の介入を最小限に抑え、信託の継続性を高める効果があります。結果として、受益者の利益を守ることができるのです。
後継受託者の選任と信託継続のポイント
後継受託者を事前に指定するメリットと注意点
信託契約時に後継受託者をあらかじめ指定しておくことで、受託者の任務が終了した際にも信託を円滑に継続できます。後継者が明確であれば、任務終了後すぐに信託事務を引き継げるため、財産管理の空白期間を避けられます。ただし、後継受託者の候補者には事前の説明と合意が不可欠です。信託の内容や責任範囲を理解しないまま就任すると、トラブルの原因になりかねません。また、候補者が辞退する可能性もあるため、複数名を候補として定めておく、または指名方法を契約書に明記しておくのが安全です。こうした備えが、信託の長期的な安定運営を支えます。
後継受託者がいない場合の信託終了リスクと法人受託の選択肢
信託法第163条では、受託者が欠けた状態が1年間続くと信託は自動的に終了すると定められています。つまり、後継受託者を確保できなければ、信託そのものが消滅してしまうのです。特に家族内で後継者を見つけにくい場合や、関係者の高齢化が進んでいる場合は注意が必要です。このようなリスクを避けるためには、法人を受託者とする方法も有効です。たとえば一般社団法人などを設立し、継続的に信託を運営する体制を整えることが可能です。法人であれば、個人の死亡や判断能力低下の影響を受けにくく、信託を長期的かつ安定的に維持できるメリットがあります。
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