任意後見人制度のトラブル事例!回避策と対処法を徹底解説

任意後見人制度のトラブル事例!回避策と対処法を徹底解説

認知症に備える任意後見制度を安心して利用するための注意点と専門家の活用法

任意後見人の概要と知っておくべきトラブル事例

任意後見人とは?その役割と契約の仕組み

 任意後見人とは、本人に代わって財産管理や身上監護に関する事務を行う人を指し、預貯金管理、不動産売却手続き、入院・施設入所手続きなどを行います。

 任意後見制度の利用には、本人と任意後見受任者(将来の任意後見人)の間で、代理してほしい内容を公正証書で契約する「任意後見契約」が必要です。

 この契約は、本人の判断能力が低下した際に家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されて初めて効力が生じます。任意後見監督人は、任意後見人が契約内容どおりに職務を遂行しているかを監督します。

 

契約が始まらない、報告義務を怠るなど主なトラブル事例

  【事例1】任意後見監督人の選任申立てがなされず、任意後見契約が始まらない

        ▪ 本人の判断能力が低下しても、任意後見監督人選任の申立てがされないと、任意後見人の事務が開始されません。そうなると不動産の管理に支障をきたしたり、未払いが発生するなど、せっかく任意後見契約を結んでいても役立たないことになります。

        ▪ 実際、任意後見契約数に対し、監督人選任審判の件数は約5%程度に留まっており、契約が発効していないケースが少なくありません。

  【事例2】任意後見監督人への報告義務を怠る

        ▪ 任意後見人は、任意後見監督人に対して、財産の管理状況、本人の生活・療養看護に関する措置、費用支出・使用状況などを定期的に報告する義務があります。

        ▪ 親族が任意後見人になると、「他人の財産」という意識が薄れ、報告を怠りがちになることがあります。場合によっては後見人を解任される可能性もあります。

 【事例3】契約内容が不十分で、希望どおりに財産管理をしてもらえない

        ▪ 任意後見人が本人に代わってできることは、契約書(代理権目録)で代理権が与えられた事項に限られます。

        ▪ 代理権目録の内容が不十分だと、例えば不動産処分に関する記載がないために、老人ホーム入居金に充てる予定の不動産が売却できないといった事態が起こりえます。

  【事例4】任意後見人が財産を使い込んでしまう

        ▪ 親族が任意後見人になると「他人の財産」という意識が乏しくなり、軽い気持ちで本人の財産を流用し、それが多額の使い込みに発展する事例があります。

        ▪ 専門職による横領事件もありますが、不正事例の多くは専門職以外によるものです。

  【事例5】任意後見人と任意後見監督人の相性が悪い

        ▪ 任意後見監督人には裁判所が選任する弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることが多く、希望する人が選任されるとは限りません。

        ▪ 相性が悪いという理由だけでは解任は認められないため、トラブルに発展することがあります。

 

 

任意後見人のトラブル発生時の具体的な対処法

不正行為発覚時の任意後見人の解任手続き

任意後見人が任意後見監督人への報告義務を怠ったり、本人の財産を使い込んだりした場合は、解任が可能です。

法律上、不正な行為、著しい不行跡、その他任意後見人に適しない事由がある場合、任意後見監督人や本人などの請求により、家庭裁判所が任意後見人を解任できます。

 

財産使い込みに対する損害賠償請求と訴訟

任意後見人が本人の財産を使い込んだ場合、解任と共に損害回復のための訴訟が必要です。

本人は任意後見人に対して、不当利得返還請求権(民法703条)や不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)を根拠に、使い込んだ金額の返還を請求することになります。

 

 

任意後見人トラブルを未然に防ぐための賢い選択

 専門家を任意後見人に選任するメリットと費用

弁護士や司法書士などの専門家を任意後見人に選任することで、横領などのリスクを抑えることができます。

専門家はその人に合った適切な任意後見契約書の作成を支援してくれます。

ただし、任意後見人と任意後見監督人の双方に報酬が発生し、月額3万~5万円が任意後見人、任意後見監督人は月額1万~3万円が報酬の目安となります。

 

任意後見以外の見守り契約や家族信託の検討

任意後見制度以外にも、見守り契約、財産管理等委任契約、家族信託などの制度があり、それぞれを比較検討することが大切です。

 【見守り契約】 判断能力低下前から専門家などが定期的に面談や連絡を通じて生活状況や健康状態を確認する契約ですが、財産管理や法律行為の代理はできません。

 【財産管理等委任契約】 判断能力を失う前から財産管理を任せる契約で、任意後見契約と同時に締結される「移行型」が多いです。判断能力があるうちはこの契約に沿って対処し、低下後に任意後見契約に移行させます。

【家族信託】 信頼できる家族や親族などと信託契約を結び財産管理を任せる仕組みで、判断能力低下前から利用でき、判断能力を失っても管理を継続できます。積極的な財産管理や次世代への財産承継も可能です。任意後見契約と同時に締結されるケースも多くあります。

 

専門家に相談すべきタイミング

これらの制度の内容、メリット・デメリットを専門家に相談して理解し、自分に合った制度を選択することが重要です。

愛知家族信託相談所では、税理士とも提携してお客様を総合的にサポートさせていただきます。気になること、疑問に思うこと等ございましたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

 

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