
裁判例から学ぶ「公序良俗に反しない家族信託」の適切な設計
- 家族信託の認知症対策
- 2025/10/30
- 2025/10/30
家族信託は遺留分侵害目的だと無効になる?失敗しないための公序良俗の条件
家族信託が「無効」と判断されるリスクと重要な視点
家族信託(民事信託)の普及に伴い、その有効性を巡る裁判が増加しています。特に、信託契約の内容が「公の秩序又は善良の風俗(公序良俗)に反する」として無効とされたケースもあり、適切な信託の設計が不可欠です。
信託の有効性を判断する際の裁判所の視点
裁判所は、信託契約の形式だけでなく「信託の真の目的」や「実質的に他の相続人の権利を不当に奪っていないか」という点を重視します。単なる遺産分け(遺産分割)対策として、他の相続人の権利を不当に侵害する意図が認められると、公序良俗違反を問われる可能性があります。
「遺留分侵害目的の信託」はなぜ公序良俗違反とされるのか
信託が無効とされた事例は、「遺留分」を侵害する意図をもって信託制度を利用したと判断されたケースです。
遺留分は、法定相続人(配偶者、子など)に保障された最低限の遺産の取り分です。この遺留分制度を意図的に潜脱しようとしたと裁判所に判断されると、信託契約は無効とされます。これは「信託法よりも民法の遺留分制度が優先される」という司法の強い姿勢の現れです。
東京地裁の裁判例から学ぶ「無効」と判断された理由
過去の東京地裁の裁判例(平成30年9月12日判決など)では、遺留分侵害を目的とした信託が無効と判断されています。
裁判所が問題視する「信託の実質」とは
裁判所は、以下の要素から「実質的に公序良俗に反する」と判断しています。
- 生前管理の必要性がない: 委託者が若く、認知症対策の必要性が低い状況で設定されていた。
- 全財産が特定の相続人へ: ほとんど全ての財産を特定の相続人(受益者)に集中的に承継させる内容であった。
- 遺留分への配慮の欠如: 遺留分権利者への代償金などの調整措置が一切講じられていなかった。
つまり、認知症対策という名目を装い、実質は遺留分を侵害する遺産分け手段として利用された点が問題視されたのです。
合法的に家族の安心を守るための信託設計の条件
家族信託を安全に活用し、紛争を防ぐためには、「公序良俗に反しない設計」を心がける必要があります。
- 「主目的」の明確化: 信託契約書に「認知症発症後の生活費や医療費の確保」など、生前管理の必要性を明確に記載し、遺産分け対策を主目的としないこと
- 遺留分への配慮: 遺留分を侵害しない契約内容とすること
家族信託の専門家である司法書士に相談すべき理由
家族信託の設計には、将来起こりうる相続紛争のリスクを予測し、法的に回避するための高度なコンサルティングを必要とします。
最新の実務動向とリスク回避のための専門知識
名古屋家族信託相談所の実務経験豊富な司法書士は、最新の裁判例や登記実務の動向を把握しています。これにより、お客様の状況に合わせ、「公序良俗違反」と判断されるリスクを回避し、安全で確実な信託契約を作成いたします。
最適なタイミングとトータルサポートの重要性
家族信託の検討は、委託者が元気で判断能力があるうちが最適です。当事務所は、リスク回避と家族の安心を最優先した信託設計をご提案します。安全かつ確実に家族の資産を守るためにも、手遅れになる前に、ぜひ一度ご相談ください。
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